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点検評価と課題 分子研リポート2007 | 分子科学研究所

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7.点検評価と課題

平成19年度には分子研全分野に亘る外部評価を実施した。各研究領域に対する評価の公開部分が以下の節(7-1 − 7-4)に掲載されている。多大なご尽力を頂いた外部の先生方にここで改めてお礼を申し上げる。多くのお褒めの言 葉と共に厳しいご意見も頂いており,所員一同改めて気を引き締めて一層の努力をする必要がある。主要なポイント は以下のようであろうか(7-5 も参照)。

①内部昇格禁止を緩和したらどうか:色々な議論のあるところであるが,所内で議論した結果,やはり維持すること とした。

②新分野創出と分野をリードする努力をすること:教授,准教授は改めてこの認識を深め,独自性と気概を持って精 進することが必要であろう。

③設備インフラの充実を図ること:U V S O R ,大型計算機,N M R の世界的レベルの維持・発展を図ると同時にその他 設備の充実についても,国の財政逼迫の中で極めて厳しいが,国への要求の努力を続ける必要がある。また,「研 究設備有効活用ネットワーク」の拡充も極めて大事である。

④研究グループサイズが小さい:厳しい採用人事を行い現在の研究グループ制を維持することはやはり重要であると 考える。一方,一部教授に二人目の助教を配分しているが,研究所からの支援は限られるので,科研費を核とする 外部資金獲得の努力を一層進めるべきである。また,優れた大学院生の獲得も大きな課題である。奨学金制度の拡 充が望まれるが,R A制度の充実と宣伝の努力も必要であろう。また,所内の研究グループ間の協力研究及び客員 教授・准教授との協力研究をもっと推進すべきである。

⑤ IMS フェローのあり方についての議論も進んでいる。待遇改善とより柔軟性のある制度の模索を行う必要がある。

以上に加えて,大学共同利用機関としての分子研のあり方についての検討を行い,運営会議等においても議論をし て頂いた。7-5 にその内容がまとめられている。

(中村宏樹)

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7-1 理論・計算分子科学研究領域

国内評価委員会開催日:平成19年8月11日 委 員 榊 茂好(京都大学,教授)

樋渡保秋(金沢大学,名誉教授) 前川禎通(東北大学,教授) 北原和夫(国際基督教大学,教授) 国外評価委員面接日:平成20年3月17日〜21日

委 員 William H. Miller(Professor, University of California, Berkeley)

7-1-1 点検評価国内委員の報告

(1) 当該研究領域の研究分野での分子研の役割,寄与と位置づけ

理論・計算分子科学研究領域は全部で9グループ(理論6,計算3)を擁し,わが国の大学における化学系学科で は最大の陣容を誇り,国際的に第一線の研究成果を数多く発信しているだけでなく,共同利用機関として計算科学研 究センターの管理・運営に責任をもち,全国,600件/年にも及ぶ計算分子科学研究の「中核拠点」としての役割を 果たしている。また,これらの活動を通して,数多くの研究者を育て,各レベルの人材(助教,准教授,教授)を全 国大学等に輩出している。

(2) 当該研究領域の研究内容と各研究グループに対する個別評価

当該研究領域の研究は分子およびその集合体の構造,物性,ダイナミクスおよび機能を分子科学基礎理論(量子化学, 統計力学)および分子シミュレーションに基づき解明することを目的とするものであり,その対象とする物質も電子 系から生体分子まで多岐にわたっている。また,対象とする物質の相も気相,液相,固相と全範囲に及んでいる。以 下に,過去3年間における当該研究領域の活動と各研究グループの特筆すべき研究成果およびその評価について述べ る。

当該研究領域の活動

理論・計算分子科学研究領域は領域全体の取り組みとして下記の3事業を遂行している。

①計算科学研究センターの共同利用事業

② NA R E G I プロジェクトにおける「ナノサイエンス実証研究」拠点および「次世代スパコン」プロジェクトにお ける「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエアの研究開発」拠点としての事業

③自然科学研究機構の「中核拠点形成」事業

①計算科学研究センターはいわば分子科学研究所における共同利用事業における中核的研究施設のひとつであり,全 国の分子科学分野の計算科学者に計算資源を提供するだけでなく,その共同研究を促進し,理論・計算科学分野の発 展に貢献している。施設のユーザー数はワークステーションやパソコンクラスターなどの普及ともに漸減傾向にある が,今なお,60グループ,約600人の大学研究者がこの施設を利用し,100 パーセントに近い稼働率を維持してい ることは他に類を見ない特長であり高く評価できる。

一方,その利用形態を見てみると注目すべき特徴がある。それは利用者が理論・計算分子科学分野のプロパーの研

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究者と有機化学者などを含む実験研究者に大きく分かれていることである。そして,実験研究者の多くはセンターに インストールされている G aussi an(量子化学)や A M B E R (分子シミュレーション)などのプログラムを使用できる ことにメリットを求めている。これは分子科学分野における理論と実験との実質的な共同であり,分子科学分野の成 熟度のひとつの指標でもある。今後,計算科学研究センターが分子科学分野の基盤的研究施設としての位置づけをよ り一層高めるためには,このような共同研究を促進することが肝要であり,これまで理論・計算分子科学分野で開発 してきたプログラムのライブラリ化などを通じて,分子科学分野の研究者に供することが求められる。

②理論・計算分子科学研究領域は文部科学省からの委託事業である「N A R E G I ナノサイエンス実証研究」を2003年 度から実施している。この事業は文科省の「超高速コンピュータ網形成」プロジェクトの一貫として,情報科学研究 所を拠点としたチームによって作られた「グリッドミドルウエア」の実証計算を行うことを第一のミッションとして いる。このプロジェクトチームは分子科学研究所,東大物性研,東北大金研,京大化研,産総研など全国6研究機関 および12大学の研究者から構成され,分子科学研究所はそのプロジェクト拠点としての役割を果たしている。本プ ロジェクトにおいて達成された学術的成果は2005年度に実施された文科省での中間評価の段階ですでに「R I S M - F M O」を含む各種連成計算,1000 万原子系の巨大分子動力学計算の実現など多岐にわたっており,高い評価を得て いる。また,本プロジェクトでは「グリッドナノシミュレータ」と呼ばれる計算支援ソフトウエアを作成している。 このソフトウエアは全く独立に作成された個々のプログラムをシームレスに連成することを可能にすることから,グ リッド上での連成計算はいうまでもなく,現在,構築中の「次世代スパコン」においても威力を発揮すると思われる。 本年度はプロジェクトの最終年度に当たり,グリッドミドルウエアの最終的な「実証研究」に取組んでおり,その成 果が大いに期待される。

一方,「ナノ統合シミュレーションソフトウエアの開発」プログラムは2006年度に開始された文科省プロジェクト

「最先端・高性能スーパーコンピュータの開発利用」の一貫として,次世代スパコンを有効に活用するソフトウエア の開発を目的としている。この目的のため,1.次世代情報機能材料,2.次世代ナノ生体物質,3.次世代エネルギー, という3つの「グランドチャレンジ課題」を設定し,それらの研究課題に沿って研究チームを編成している。これら の課題を達成する上で必要な理論および方法論を構築すると同時に,それらに対応する計算プログラムを作成し,次 世代スパコンでの実証計算を行うことを目指している。現時点ではプロジェクトが開始されて未だ1年半程しか経っ ていない現状にあり,何らかの結論的な評価を下す段階にはない。しかしながら,これまでの活動でも,理研で開発 を進めているスパコンハードウエアのアーキテクチャ選定における「ターゲットアプリケーション」として,上記の グランドチャレンジ課題に対応する6本(うち3本は分子研から提案)のプログラムをベンチマークに供したことは 高く評価できる。

③理論・計算分子科学領域は自然科学研究機構プロジェクト「分野間連携による学際的・国際的研究拠点形成」にお ける「巨大計算新手法の開発と分子・物質シミュレーション中核拠点の形成」プログラムの拠点として活動をしている。 このプログラムは機構内におけるシミュレーション分野の連携を促進し,特に,大規模複雑系を構成する分子・物質 に対する計算科学研究にブレークスルーを実現するともに,それぞれの分野においても方法論に新機軸をもたらし, 学際的新分野を形成することを目指している。2005年度に開始された本プログラムにおいて,すでに,24回にお よぶセミナー,3回の機構内連携研究会,2回の国際シンポジウムを開催するなど活発な連携活動を行っており,そ の活動は高く評価できる。

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(3) この分野の国内,国外での研究分野としての重要性

本研究分野は量子力学,統計力学,分子シミュレーションを中心とした分子科学分野の理論・方法論を基礎として, 分子およびその集合体の構造,物性,化学反応,相転移,ダイナミクスなど物質が示す様々な現象を電子・原子レベ ルから理論的に考究する学術分野であり,計算機科学の発展とも相俟って,現在,急速にその重要性に対する認識が 高まりつつある。とりわけ,現在,急速にその研究が進みつつある「ナノ科学」および「生命科学」においては,分 解能や感度などの限界から,実験では到底解明することのできない様々な現象にぶつかっており,理論的な解析なく しては学術分野そのものの発展が停滞してしまう状況にある。一方,これらの分野の諸現象は,例えば,水溶液中の 酵素反応に典型的に見られるように,電子から無限の広がりをもつ溶媒まで,広いスケールと複数の物理・化学現象 が絡みあった複雑な対象であり,従来の分子科学理論の枠を超えた新しい理論・方法論の発展が期待されている。

理論・計算分子科学の重要性は単に基礎学術研究からのそれだけに止まらない。上に述べた「ナノ科学」や「生命 科学」は将来の生産技術や医療技術の科学的基礎としても重要な位置づけを担っており,この分野におけるブレーク スルーがそのまま生産や医療におけるブレークスルーに直結する可能性が高い。例えば,分子レベルでの電子デバイ スや新しい機能をもつ人工酵素の設計などがそれである。

(4) この分野の発展はあるか,どのような方向か

上に述べたように,この分野の発展は従来の「要素還元型」の研究からより現実的な系(分子およびその集合体) の構造,物性,ダイナミクス,機能を分子レベルから解明していく,いわば,「総合型」研究のフェーズに突入しつ つある。その意味において,現代の科学研究において計算機が占める位置を再認識する必要がある。これまでは,現 象の背後にある因果関係をモデルによって説明する際に,解析を容易にするために本質的な部分を抽出したモデルを 考えることが多かった。しかしながら,現代では,計算機の発達によって,複雑な要因を取り入れたモデルをそのま ま数値的に解析することが可能となり,複雑な要因からなる現実的なモデルの有効性を検定しさらにそこでのパラ メータを変えることによって新たな現象を予測することも可能となる。このような時代において,理論やモデル構築 を行う研究者と,数値解析の高速化のアルゴリズムなどを研究する計算機科学分野の研究者とが出会って協同する可 能性を拓く教育の在り方を考えるべきである。また,アルゴリズム研究の成果は広く使えるような仕組みも必要であ る。以上のことから,我が国の理論・計算分子科学振興のために,以下の施策を提言する。

①現在,非常に限られた化学系学科にしか置かれていない理論分子科学(理論化学)部門を全国の高等教育機関に増 設し,学部時代から計算機を用いた理論分子科学に親しめる環境を作る。

②大型計算機センターをもつ高等教育機関においては,センターを単なる計算機利用施設に留まらず,理学(理論化学, 理論物理)と計算機科学あるいは計算機工学の共同研究の実践する教育研究施設とする。

③物性研と分子研には,計算ソフトのライブラリーとしての機能を持たせ,基礎研究のための情報発信機能をもたせる。

(5) 分子研の当該研究領域は今後どのように進むべきか

理論・計算分子科学研究領域は当該分野の全国の研究者の共同研究を促進する上で本質的役割を果たしており,そ の活動は高く評価できる。今後とも,この方向で努力を継続すべきである。同時に,わが国における理論・計算分子 科学分野のさらなる発展という視点からは,いくつかの克服すべき課題も指摘される。

これまで理論・計算分子科学研究領域の共同利用に関する活動は計算科学研究センターの運営と管理に責任をもち, 主として,計算機資源を分子科学分野のユーザーに提供することを中心に行われてきた。これまでも量子化学計算ソ

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フトとして G A U S S I A N や分子動力学計算ソフトとして A M B E R などの市販ないしは公開ソフトをユーザーの利用に 供してきたが,それはあくまでも付随的な活動に過ぎなかった。しかしながら,先にも述べたように,現在の分子科 学分野における計算科学の研究対象はこれらの市販ないしは公開ソフトだけでは太刀打できないレベルに達してお り,わが国の分子科学分野で開発した独自の理論や方法論および計算プログラムを共通の知的財産として共同利用に 供すること,すなわち,「ハード」を中心にした共同利用から「ソフト(知識)」を中心にした共同利用へと大きく転 回することが求められている。この意味で理論・計算分子科学研究領域は独自に開発した理論・方法論およびソフト ウエアを計算科学研究センターのライブラリ化などを通じて積極的に公開していくだけでなく,全国の理論・計算分 子科学者が開発したすぐれたソフトウエアに関してもその開発者にライブラリとして公開していただくよう協力を求 める必要がある。また,これらのライブラリを維持・管理し,発展させるためには現在の計算科学研究センターの人 員および組織体制では不十分であるため新たな措置を講じる必要がある。

7-1-2 国外委員の評価

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 原文 To: Hiroki Nakamura, Director-General of IMS

From: William H. Miller, Kenneth S. Pitzer Distinguished Professor of Chemistry, University of California, Berkeley Subject: Report of my visit to IMS, March 17–21, 2008

Though I have had the pleasure of visiting IMS a number of times, it is sobering to realize that it has been approximately 30 years since my first visit, not long after the Institute was founded. It is clear that this “experiment” in scientific organization in Japan has been a great success in many areas of molecular science, and quite specifically in theoretical/computational chemistry (= molecular science) that is the subject of my review. By almost any measure one can easily conclude that the group in theory and computation at IMS is one of the premier such groups in the world. In size alone—I will comment on its quality below—it ranks at the top. I heard presentations from 9 research groups, and though Professor Okamoto has left for Nagoya University, my understanding is that a recruitment is currently in progress for a new appointment. For comparison, my own institution—the College of Chemistry (the departments of Chemistry and Chemical Engineering) at UC Berkeley—has 6 theorists in Chemistry and 2 in Chemical Engineering, comprising the K. S. Pitzer Center for Theoretical Chemistry, and we are the largest collection of theoretical chemists in the US. To my knowledge, there is no institution in Europe with this number of independent theoretical research groups in chemistry or molecular science.

Before discussing the scientific programs, I would like to make some comments about issues that I think are relevant to theoretical/ computational chemistry in general, and to IMS in particular:

1. There has been such great progress in theoretical methodology (electronic structure theory, molecular dynamics simulation methods, etc.) in the last 2 or 3 decades that it can now be fruitfully applied to almost the entire array of molecular phenomena. The work at

IMS and elsewhere is testament to this. While we all applaud the energetic application of theoretical tools to problems in bio-molecular systems, nano-materials, novel electronic devices, etc., one cannot help but see a tendency to minimize the funding and support for more fundamental methodological theory. I am sensitive to this trend in my own country, where most young theorists think (rightly

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or wrongly) that they must somehow work “nano” or “bio” into their research proposals in order for them to have any chance of being funded, and I have seen evidence for similar trends here in Japan. My general plea—and recommendation to Japanese funding sources, in particular—is not to minimize support for the creative applications of theory that are being pursued at IMS and elsewhere, but that creative research in basic theoretical methodology also be supported and encouraged. Not to do so is akin to “eating one’s seed corn” (I hope there is a Japanese version of this expression) and is a recipe for stagnation in the future.

2. I believe that a mandatory retirement age is a good thing. (I think it is a mistake that we abandoned such in the US.) Though the earlier age of 60 certainly seemed too young, something between 65 and 70 does seem about right; each society must of course decide what works best for them. Yes, some persons will still be doing excellent work at retirement age—and there should be provisions for emeritus faculty to maintain scientific viability if they still have a vigorous research program—but it is important that they relinquish their formal positions to make way for new appointments of young faculty.

3. The policy of not promoting Associate Professors at IMS is different from that in the US, where a “stay or go” decision is made at the end of a person’s assistant professorship (the tenure decision, about 5 or 6 years after the initial appointment). It is similar, however, to that of the German system, where a C3 professor (= associate professor) must move to another institution to move up to a C4 (= full professor) position. The only danger I see is that you will loose the best faculty, who will be attracted to senior positions at universities, say, and the ones who remain will thus not be the best. However I see no evidence for this at IMS, so the policy seems to be working well. It does have the positive effect of making positions available for recruiting new beginning faculty, and the importance of this cannot be over-stated. One of the best things about the large size (~50) of our faculty at Berkeley is that we are recruiting for one or two beginning assistant professors every year; it is quite exciting to always be looking for the “best and brightest” and seeing what research directions they are choosing.

4. I find the “privatization” of the national universities and research institutes to be potentially troublesome for theoretical/computational science. Yes, theory and computation are playing an increasingly important role in “practical” research that can attract money from private sources, but it usually in a supporting role to experimental programs and thus not so visible. I believe that a large part of the success of theory at IMS has been the stable support it has had from the national government over its lifetime. I am unsure how well it will fare if it is forced to sell itself on the open market. I could make these same comments about the US—all these trends seem to be global—where universities (mine included) are aggressively pursuing partnerships with industry to help fund their research programs. This is not necessarily bad, but it certainly could be if not carefully monitored. I fear that our governments are in favor of these directions primarily as a way to lessen the demands on their budgets.

5. I am glad to see that IMS can now offer a doctorate degree to graduate students, for this certainly helps in attracting talented young co-workers. Institutions like IMS, the Max Planck Institutes in Germany, and the National Laboratories in the US, always have difficulties in attracting students since they have no undergraduate teaching role. IMS seems to be doing reasonably well in this regard, though I did see comments in an earlier review that the small size of experimental groups was somewhat of a problem. Fortunately for theoretical research, a large group is usually not necessary—or even desirable—in order to carry out a very successful program.

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I was immensely impressed by the quality and variety of the research programs I heard described over an intense two-day period at IMS. Most all of the groups have interesting and novel approaches for new theoretical methodology and as well as creative applications to a wide variety of very timely molecular problems. For purposes of discussion, I comment first on the four research groups dealing primarily with electronic structure and dynamics. Professor Nagase described some very novel applications of DFT (density functional theory) to show the important role played by bulky substituent groups on the formation of multiple bonds between heavier group 14 elements, and also to the structure and functionalization of endohedral metallofullerenes. He also described the development of very efficient new algorithms for generating energy gradients at the MP2 level of electronic structure theory, the crucial tool for determining reactions paths of chemical reactions, and he also discussed the beginnings of a very novel Monte Carlo approach in electron configuration space (as opposed to the physical coordinate space of the electrons) for highly accurate electronic structure calculations. Professor Yanai described two very novel approaches for attacking the fundamental problem of electron correlation: a canonical transformation (CT) approach (similar in spirit, but not the same, as coupled-cluster theory) for treating the short-range dynamic correlation, and a density matrix renormalization group (DMRG) method for greatly enhancing the efficiency of CASSCF methods that treat the valence-mixing, or non-dynamical correlation. The combination of these two allow him to achieve highly accurate results much more efficiently than previous approaches. Professor Nobusada described his use of DFT to study gold-methane-thiolate clusters, and of TDDFT (time-dependent DFT) to show how circularly polarized light induces ring current in ring-shaped molecules. He also described an open-boundary cluster model (OCM) he developed to treat adsorbates on finite clusters. The open-boundary (outgoing wave boundary conditions) removes artifacts due to the finiteness of the cluster. Professor Yonemitsu, a condensed matter theorist, described projects dealing with electron dynamics strongly coupled to phase transitions in various materials, in particular the effect of photo-excitation of electron-hole pairs on conductivity, permittivity, and magnetic susceptibility. Some of the phenomena he has studied are photo-induced neutral-ionic/paraelectric-ferroelectric phase transitions in charge transfer complexes, charge transfer excitations in 1D dimerized Mott insulators, and effects of electronic correlation and lattice distortion on charge order in 2D organic salts.

The other five groups deal with a variety of complex molecular systems, making extensive use of molecular dynamics (MD) simulation methods (including extensions of this methodology), coupled with electronic structure calculations as necessary in some

cases. Professor Hirata is of course very well known for his extensive work in extending the basic RISM idea far beyond the realm for which it was initially designed. He described applications to site-selective binding of ions to proteins, and in particular how this varies when mutations are introduced into the protein. Another application was to show how water is forced into a protein under high pressure, and how this leads to denaturation of the protein. Professor Saito’s work deals with dynamics in the condensed phase, primarily aqueous solution. He described an impressive study of conformational changes associated with GTP hydrolysis in the RAS protein, using MD simulations to investigate the fluctuations and conformational changes; structures were characterized by QM/MM energy calculations. He also described MD simulations of the higher order time correlation functions that are necessary to calculate 2D infrared spectra, in particular those related to intermolecular dynamics in water. Professor Morita described his very extensive development of MD simulation methodology focused on calculation of sum frequency generation (SFG) spectra, a property most sensitive to interfacial regions of molecular ensembles. He emphasized that such careful theoretical simulations of the spectra are essential for extracting useful information from such experiments. He also described a very careful development of flexible and polarizable potentials that are necessary to make the MD simulations feasible.

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Professor Okazaki described state-of-the-art MD simulations of extremely large molecular systems, micelles in water, lipid

bilayers, and cholesterol molecules in membranes. He also described an MD simulation for the vibrational relaxation of CN ions in water; this was done by using a harmonic influence functional to represent the solvent, the harmonic model coming from the instantaneous normal mode (INM) model of the solvent. In so doing he was able to show that only water molecules in the first solvation shell contribute to the relaxation, and that the vibrational energy from the CN is deposited primarily in bending and rotational/librational modes of the water molecules. Professor Okamoto’s research is also focused on classical MD simulations, primarily on improving the Monte Carlo (MC) and MD sampling methodology that is so important when treating truly complex processes, such as protein folding. Straight-forward approaches tend to get “trapped” in local minima and not sample the entire ensemble correctly. He has been instrumental in developing algorithms such as multi-canonical MC sampling, replica-exchange, parallel tempering, and multi-overlap MD methods. He described the application of some of these approaches to amyloid formation, a critical aspect of Alzheimer’s disease.

So as stated in the prolog, the variety of problems being tackled by the IMS theoretical groups is quite astounding. The fact that the quality of the work is so high make this even more impressive. My overall finding is that the theoretical/computational group is in excellent shape. My only recommendation is that in future appointments you continue to focus on the intellectual quality and perceived creativity of the candidates and not too much on the particular topical area of the research (within reason, of course). I have found that departments and committees do a very poor job of trying to predict the most fruitful directions for research; rather, my experience is that the best directions are the ones that the best young people choose.

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F rom: ウィリアム H. ミラー カリフォルニア大学バークレー校ケネス S . ピツァー抜群教授(化学) S ubject: 2008年3月17−21日 分子研訪問の報告

これまで何度も楽しく分子研を訪問しましたが,研究所が創立してまもなくだった最初の訪問から約30年たった ことに気づいてハッとしています。日本でこのような科学の組織をつくるという“ 実験” が,分子科学の多くの分野 で偉大な成功を収めてきたことは明らかだと思います。私のレビュー対象の理論化学/計算化学(=分子科学)にお いては特に。ほとんどどの評価基準でみても,分子研の理論・計算分子科学研究領域は世界で一位のグループのひと つであることが容易に結論付けられます。以下では質についてコメントしますが,サイズだけでもトップに位置づけ られます。9つの研究グループの発表を聴きました。岡本祐幸教授が名古屋大学に異動しましたが,新たな任命に向 けて採用が現在進められていると理解しています。比較のため,私の施設(カリフォルニア大学バークレー校の化学 科と化学工学科からなる化学カレッジ)は化学科に6名,化学工学科に2名の理論家がおり,K . S . ピツァー理論化学 センターを含んでいて,米国では理論化学者の最大の集団です。私の知る範囲では,ヨーロッパにおいても化学また は分子科学においてこれだけの数の独立した理論研究グループがある施設はありません。

科学プログラムを議論する前に,一般に理論化学/計算化学にそして特に分子研に関連すると思う課題にコメント したいと思います。

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1.この20〜30年間に理論の方法論(電子構造論,分子動力学シミュレーション法など)は非常に大きく進展し, 今では分子の関わる現象のほとんどすべての領域に応用され実りを挙げています。分子研等の業績はその証拠になっ ています。我々全員が理論的手段を生体分子系,ナノ材料,新規電子デバイスなどの問題に精力的に応用することを 称賛していますが,より基本的/原理的な方法論への財政的支援や支持を軽視する傾向を見ざるを得ません。私は自 国でこの傾向に敏感になっていて,そこではほとんどの若手理論家が財政的支援を得るため研究計画書に“ ナノ” か“ バ イオ” という言葉を何とかして織り込まなければならないと(正しいか間違っているかはさておき)考えていますが, ここ日本においても同様な傾向があるという証拠を見ました。日本の,とりわけ資金源に対して一般に懇願あるいは 勧告することは,分子研等で追及されている理論の創造的な応用を過小評価してはならないということです。基礎的 な理論的方法論における創造的な研究も支援し奨励するべきです。してはならないのは,“ 種トウモロコシを食べる”

(この表現の日本語版があると思います)ことであり,そうすれば将来低迷して不振に陥ることになります。

2.私は強制的な定年制はよいことだと信じます。(米国でこれを放棄したことは間違いだと思います。)以前の60 歳という年齢は確かに若すぎるように思えますが,65歳から70歳までの年齢なら適当に思えます。個々の社会がも ちろん自分たちに最良のものを決めなければなりませんが。確かに,定年の年齢においても卓越した仕事をまだ行っ ている人がいます。名誉教授がもし積極的な研究プログラムを持っているなら,科学においての実行可能性を維持で きる設備等条件を用意するべきです。若手教員を新規採用する道を譲るために,彼らが正式な地位を放棄することが 重要ですが。

3.分子研では准教授を昇進させないという方針があり,“ 留まるか出て行くか” の判断が助教の任期終了後(テニュ アーの決定,最初の任命の約5〜6年後)に行われる米国での方針とは異なります。しかし,C 3 プロフェッサー(准 教授)が C 4 プロフェッサー(教授)に着くためには他の施設に移らなければならないドイツの制度と似ています。 私が感じる唯一の危険は,大学の高い地位に引き付けられるような最良の教員を失い,残る教員が最良でなくなるこ とです。しかし分子研ではこのような兆候が見当たりませんし,この方針がよく機能しているように見えます。新し く始める教員を採用する地位をあけておくという建設的な効果が確かにあり,この重要性はどんなに言っても誇張に はなりません。我々のバークレーでの教員の規模が大きいこと(50名ほど)で最良なことのひとつは,毎年1〜2 名新たに助教になる人を採用していることです。最も優秀で聡明な人を常に探し,どの研究方向を彼らが選んでいる かを見ることは非常に胸を躍らせることです。

4.国立大学と研究所の法人化が理論科学/計算化学に困難を与えるかもしれないことが見受けられます。確かに, 理論と計算は民間の財源から資金を引き出せる“ 実用的な” 研究でますます重要になる役割を果たしています。しか し通常は実験プログラムを支援する役割においてであって,目立つものではありません。分子研の理論の成功の大部 分は日本政府から永年にわたって安定した支援を受けたことによると信じます。もしこれが自由市場に売ることを強 制されたら,ことがどれだけうまく運ぶか確かでありません。全く同じこれらのコメントを米国にもできます—こ れらの傾向はグローバルに見えます—(私の所属しているのを含め)大学は研究プログラムに資金を出すのを助け る産業界との提携を強引に追及しています。これは必ずしも悪いことではないかもしれませんが,注意深く監視しな い限り悪いことになりえます。日米の政府が予算要求を軽減するためにこれらの方向を主に支持することを恐れます。 5.分子研がいまや大学院生に博士号を与えられることを知って嬉しいです。これで確かに,能力のある若い共同研 究者を引き付ける助けになるでしょう。分子研,ドイツにおけるマックス・プランク研究所,米国における国立研究 所のような施設は,学部生を教える役割がないために,常に学生を引き付けるのが難しい状況にあります。分子研は この点,以前のレビューでは実験グループのサイズが小さいことが問題になっているとのコメントを見たものの,適

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度によくやっているように見えます。理論研究では幸いにも,大きなグループは,とても成功したプログラムを遂行 するためには,通常は必要ないか,または望ましくないです。

分子研での情熱的な2日間にわたって説明されたことを聴いて,それらの研究プログラムの質と多様性に,私は非 常に感銘を受けました。ほとんどすべてのグループが興味深く新規なアプローチで新しい理論的方法論に取り組んで おり,広く多様性を持つとても時宜にかなった分子科学の問題に創造的な応用をしています。議論をするために,ま ず電子構造とダイナミクスを主に扱う4つの研究グループをコメントします。永瀬教授はいくつかとても新しい密度 汎関数理論(D F T )の応用を説明して,より重い 14 属元素の間の多重結合の形成にバルキーな置換基が果たす重要 な役割と金属内包フラーレンの構造と機能化を示しました。また化学反応の反応経路を決定する重要な手段である, 電子構造理論の M P2 レベルでのエネルギー勾配生成のとても効率的な新しいアルゴリズムの発展を説明しました。 また高精度の電子構造計算のための(電子の物理的な座標空間ではなく)電子配置空間におけるとても新しいモンテ カルロ計算によるアプローチの始まりを議論しました。柳井准教授は電子相関の基本的な問題に取り組むための2つ のとても新しいアプローチを説明しました。ひとつは短距離動的相関を扱うための(精神としては結合クラスター理 論 と 似 て い る が, 同 じ で は な い ) 正 準 変 換(C T ) ア プ ロ ー チ で, も う ひ と つ は 価 数 混 成 ま た は 非 動 的 相 関 を 扱 う C A S S C F 法の効率を大いに高める密度行列繰り込み群(D M R G)法です。これら2つの方法の組み合わせで,以前の アプローチよりもずっと効率的に高精度の結果を得ることができます。信定准教授は D F Tを使っての金−メタン− チオラートクラスターの研究と,時間依存 D F T (T D D F T )を使っていかに円偏光の光が輪状分子上を周る電流を誘 導するかを説明しました。また,有限クラスター上の吸着質を扱うために彼の発展させた開いた境界クラスター模型

(OC M)を説明しました。開いた境界(外向き波の境界条件)はクラスターの有限性による人為的影響を取り除きます。 物性理論研究者の米満准教授はさまざまな物質の相転移に強く結合した電子ダイナミクスを扱う研究課題,具体的に 言うと伝導性,誘電性,磁気的感受率に対する電子正孔の光励起効果を説明しました。彼の研究してきた現象は,電 荷移動錯体における光誘起中性−イオン性/常誘電−強誘電相転移,1次元二量化モット絶縁体における電荷移動励 起,2次元有機塩の電荷秩序に対する電子相関と格子ひずみの効果などです。

他の5つのグループは,分子動力学(MD )シミュレーション法(この方法論の拡張を含む)を大規模に使って, 場合によって必要に応じて電子構造計算と結合させて,さまざまな複雑分子系を扱っています。平田教授は基本的な R I S M 理論の考えを最初に考案された領域よりもはるかに拡張するという広範囲に及ぶ業績でもちろんとても有名で す。蛋白質へのイオンのサイト選択的な結合,特に蛋白質に突然変異を導入したときこれがいかに変わるか,に対す る応用を説明しました。ほかの応用は,高圧下の蛋白質にいかに水が押し込められるか,これがいかに蛋白質の変性 にいたるかを示すことでした。斉藤教授の仕事は凝縮相におけるダイナミクス,主に水溶液に関わることです。揺ら ぎと構造変化を調べるために M D シミュレーションを使って,R A S 蛋白質の G T P 加水分解に関連する構造変化に対 する印象深い研究を説明しました。構造は QM /M M エネルギー計算で特徴付けられました。また2次元赤外分光の計 算に必要な高次の時間相関関数,特に水の分子間ダイナミクスに関する相関関数に対する M D シミュレーションを説 明しました。森田教授は分子アンサンブルの境界領域に最も敏感な性質である和周波発生(S F G)スペクトルの計算 に焦点をあてた M D シミュレーション計算法のとても大規模な発展を説明しました。このような実験から有益な情報 を引き出すにはこのように注意深いスペクトルの理論シミュレーションが本質的なことを強調しました。また M D シ

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ミュレーションを実行可能にするのに必要な柔軟性と分極性をもったポテンシャルのとても注意深い発展を説明しま した。

岡崎教授は水中のミセル,脂質二重層,膜中コレステロール分子など巨大な分子に対する最先端の M D シミュレー ションを説明しました。また水中の C N イオンの振動緩和に対する M D シミュレーションを説明しました。これは溶 媒を表す調和的な影響汎関数を使ってなされたもので,調和模型は溶媒の瞬間的なノーマルモード(I N M)模型から 来ています。これを行うことで,第一溶媒和殻の水分子だけが緩和に寄与すること,そして C N イオンからの振動エ ネルギーが主に水分子の曲げモードと回転/秤動モードに蓄積することを示すことできました。岡本教授の研究も古 典 M D シミュレーションに焦点をあてており,蛋白質折り畳みなど真に複雑な過程を扱うときに重要なモンテカルロ

(M C )法と M D サンプリング法の改良を主に行っています。直接的なアプローチでは極小点に“ 捉われる” 傾向があ り,アンサンブル全体を正確にサンプルすることができません。マルチカノニカル MC サンプリング,レプリカ交換, 並列焼き戻し,マルチオーバーラップ M D 法などのアルゴリズムを発展することで役立ちました。アルツハイマー病 の重大な側面であるアミロイド形成へのこれらのアプローチの応用を説明しました。

序文でも述べたように,分子研の理論グループにより取り組まれている問題の多様性はとても驚異的です。業績の 質がとても高い事実がこれをさらに目覚しいものにしています。私の総合的な発見は理論/計算グループが絶好調で あるということです。唯一提言することは,将来の教員選定に際し,候補者の聡明な質と認識される創造性に焦点を 当て続け,特定の話題性のある研究領域に(もちろん,理にかなった範囲で)焦点をあてすぎないことです。私は学 科や委員の類が研究の最も実り多い方向を予言しようとするのがとても下手なことを見てきました。むしろ,私の経 験では最良の方向は最良の若手研究者が選ぶ方向です。

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7-2 光分子科学研究領域

国内評価委員会開催日:平成19年8月8日(水)

委 員 太田信廣(北海道大学電子科学研究所 教授)

春日俊夫(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 教授) 高橋 隆(東北大学大学院理学研究科 教授)

大島康裕(分子科学研究所 教授) 大森賢治(分子科学研究所 教授) 岡本裕巳(分子科学研究所 教授) 加藤政博(分子科学研究所 教授) 小杉信博(分子科学研究所 教授) 国外評価委員面接日:平成19年10月15日〜17日

委 員 A lfred L aubereau(Professor, Technische Universität München)

7-2-1 点検評価国内委員会の報告

国内委員による評価は,面接により,以下の研究グループの研究活動に関して行なった。 光分子科学第一研究部門 岡本グループ,大島グループ

光分子科学第二研究部門 大森グループ

光分子科学第三研究部門 小杉グループ,見附グループ,菱川グループ 分子制御レーザー開発研究センター 平等グループ

極端紫外光研究施設 加藤グループ,木村グループ,繁政グループ

(1) 全体討論

所内委員F,H:(組織の再編と領域の新設について概要説明)

所内委員F:このような組織再編に関して,所外の立場からのご意見やアドバイスがあれば伺いたい。 外部委員B:UV S OR のメンバーが施設と領域の両方に入っているのはどのような趣旨か。

所内委員F,H:施設のメンバーは二重国籍のような形とし,施設外のメンバーも施設を自分の問題と考えることを目論 んでいる。

外部委員C:そのような形にしたことにより具体的に新たな協力体制はできたのか。

所内委員H:具体的には今後の課題と考えている。レーザーセンター等で検討中である。自由電子レーザー等の将来 構想もあり,UV S OR 教授がレーザーセンターを併任している。

外部委員A:領域内の各グループの方向性のバランスが取れている感じがする。各種波長,時間領域の分光,空間分 解分光,高強度光等。一方で,グループの独立性に固執せず,数グループで一つのことにとりかかるよ うなことを考えてもよいのではないか。

所内委員E:エクストリームフォトニクス事業はそれに近い考え方で進めている。レーザーセンターでは共同利用の 負担が減り,研究上3本の柱(光源開発,超高速・量子制御,空間分解観測)を進めるような方向で考 えている。

外部委員A:昨今では理論との共同研究も大切になっているが,これはどうなっているか。

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所内委員E:一部の研究グループでは理論のグループとの共同研究を開始している。

外部委員A:大学等では,特任等の枠組みを利用して,グループ内に異なるバックグラウンドを持つメンバーを入れ るようなことも行われつつある。いずれにしても,バランスはよく取れた構成だと思う。

外部委員C:施設のメンバーが領域に入ったことで,施設の研究者が自分の研究を進めるにあたっての環境にも配慮 されているか?

所内委員H:U V S O R の研究者は,自分専用のビームラインを作る,施設のビームラインを用いて自分の課題を進め る等のことを行っている。以前に比べてサービスの負担は減っている。

外部委員C:サービス中心でなく,自らの研究でアクティビティーを是非上げてほしい。

外部委員B:分子研内では U V S O R は大きな組織だが,その中で大きな装置を維持するグループ,使うグループの切 り分けをどの程度しているか。

所内委員H:現在では全グループについて,自分のグループのアクティビティーを上げることを優先している。人事 を進めるときには研究面を重視して採用する。

外部委員B:技術職員に維持管理を任せる等の方法で,各グループがより研究アクティビティーを挙げる環境を作る ことはできないか。技術職員への高給与が前提となるかもしれないが。

所内委員H:通常のビームラインではそれに近くなっている。研究者は維持と老朽化対策よりも,将来を見据えた開 発 を 優 先 し て 行 い, 維 持 に つ い て は 技 術 職 員 に か な り 任 さ れ て い る 面 が 大 き い。 そ れ が 結 果 的 に UV S OR の性能を時代に合わせて維持することになる。

外部委員A:大学では技術職員が大幅に削減されているが,分子研ではその点はどうか。 所内委員H:研究技官が減っている。施設は現在までのところ,減らさずに来ている。

所内委員F:施設の技術職員が大きく削減になれば,分子研の存在意義の根幹にも関わってくる。 外部委員A:施設の技術職員の確保は守ってほしい。退職後の再雇用,技術継承等はどうなっているか。

所内委員H:技術課長になってからの退職の場合は,既に現場を離れており,再雇用は困難になる。今後,必ずしも 技術課長からの退職のケースだけではなくなるので,再雇用を考える必要はあるだろう。

外部委員A:研究グループの人数が5名前後で,大学と比べて人数が少ないが。

(所内委員):本当は是非とも増やしたい。 外部委員C:総研大の学生数はどの程度か。 所内委員F:定員としては1学年12名程度。

所内委員H:平均でその程度だが,実際に分子研2専攻への志望については合成系が多く,光分子科学領域への志望 学生は比較的少ない。受託学生等が増えればよいのだが。

外部委員A:公費を人件費に使える自由度が必要では。研究者の質と数は重要なので,予算に関する自由裁量がある のであれば,必要に応じて増やせるようにするのがよい。

所内委員F:現在大学附置研に関して見直しの圧力があり,その先には分子研を含む共同利用機関にもその圧力がか かる可能性が十分ある。そのときに,共同利用機関としての機能をうまく果たしているかどうかが重要 になるが,その側面に関する分子研の評価をお尋ねしたい。

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外部委員A:例えば今年度開始した化学系ネットワークを考えると,大型装置の共同利用等は,大学の教員(特に准 教授や助教)が独立性を保っていくには必須である。小さいグループになると,大きな装置をグループ 単位で持ったり維持することは困難になる。今後グループの細分化が加速することは十分ありうる。分 子研はその役割においても重要である。

所内委員F:聞くところでは,現状では化学系ネットワークの大学間の利用が少ない点が問題で,改善の必要がある とのこと。現場でのこの事業に対する必要度はどうか。

外部委員A:現場で,まだ「あそこに行けばあの装置が使える」という意識がまだ十分にない。周知が進んで一般的 になれば,相互利用も頻繁になるのではないか。アイデアのある研究者は積極的に利用するはず。 所内委員H:大学の一部の研究者は大きな予算を持っていて,そのような事業を必要としなくなっているが,一方で

は予算削減が厳しく,このような事業に対する要求が高まっているようにも感じる。

外部委員C:自分も分子研の共同利用の枠組みは利用させてもらっている。共同利用は重要な側面として機能してい ると思う。しかし分子研のレベルを保つためには,それだけでよいはずはなく,しっかりした研究者を おいておかないと,大学との競争にも勝てなくなってくる。共同利用と独自研究の両方が必要である。 外部委員A:その意味では,学生が少ないというのは困難な状況。

所内委員F:大学と連携大学院を組むという動きが分子研内でも一部で検討されている。

外部委員C:最近の学生は研究設備等の面を結構よく見ており,それで志望先を考えている。分子研では設備が充実 しているが,学生の志望の状況はどうか?

所内委員F:学生の志望は多くなく,集めるのが大変である。博士後期への入学金等も問題である。 外部委員B:入学金は,何とかして免除すべきである。

外部委員A:大学では C O E 等の予算があり,学生に対するケアが手厚くなってきている。そのような手段を使って, 学生の引止めに必死である。大学の中でさえ大変な状況である。

(2) 国内委員の意見書

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員 A I.研究領域の評価

光分子科学研究領域に所属する岡本,大森,大島,菱川,平等,松本氏らの各グループは,何れもレーザーが関与 した研究を進めているが,そのレベルは総じて極めて高いと評価できる。

(1) 分子研の役割,寄与と位置付け

分子科学研究所の役割は,分子科学の研究分野において世界をリードし,世界にその成果を発信し,社会への学術 的および文化的貢献を果たすことにあると思われる。分子科学の大きな柱として,電子構造や分子構造に関する研究, 種々の反応ダイナミクスとその機構解明に関する研究,分子集合体により形成される機能物性研究が考えられており, さらに最近では生命現象の分子論的解明も対象となっている。これらは勿論,お互いに強い相関をもっている。今回 の評価対象グループは,分子科学の中でも光,特にレーザーが関与した研究を行っている。岡本氏らのレーザー光を 用いた独自の二光子励起蛍光イメージング分光計測法の開発による金ナノロッドの研究はナノ粒子の電子構造に関す る研究であり,大森,大島,菱川の各グループの研究は,生成する電子状態,振動状態の制御,さらには反応ダイナ ミクスの制御をレーザー光により行うものである。平等グループは光源としてセラミックを用いた固体レーザーの開 発を進めている。松本グループは触媒反応等も密接に関係する表面吸着種の電子構造や反応ダイナミクスをレーザー

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光を用いた分光法の開発により進めてきた。このように研究の方向性は,主にレーザー光を用いた構造と反応ダイナ ミクスの解明およびその制御を目指しており,いずれも世界をリードする成果につながっている。

(2) 各研究分野の研究内容と各研究グループに対する個別評価

岡本氏らは,近接場二光子励起分光・イメージング測定により金ナノロッドの励起状態の波動関数の形状を顕微分 光学手法で初めて直接明瞭に可視化することに成功し,関係する一連の研究を精力的に行っている。金の二光子励起 発光用いた研究を最近よくみかけるが,その先鞭をきった研究といえる。また金属微粒子の集合体では,光照射によ り微粒子間の空隙に強い光電場が発生し,それが表面増強ラマン散乱の主な起源になると理論的に考えられていたが, 二光子励起発光イメージング法を適用し,回折限界以下の空間分解能で光電場を可視化することに成功し,実験的に その妥当性を明らかにしている。これらの研究は非常に高く評価されるべきである。今後,これらの研究がどのよう に進展するのかに多いに注目したい。

大森氏らは,二つの分子波束の量子干渉をコントロールできることをお互いの位相がアト秒時間スケール以内で ロックされている対のフェムト秒パルスを使って波束を発生させ,別のフェムト秒パルスにより時間発展を観測する ことにより明らかにしている。量子波束の衝突と干渉がリアルタイムで観測されたのは,非常に優れた業績である。 量子干渉の時間発展がロックされたレーザーパルス間の相対位相の関数として変化することを示し,このことを利用 して分子の波動関数に含まれる振幅と位相の両方の情報を読み出せることを示している。小さな気相分子を用いての 研究は確実に進展しており,今後の固体試料への発展を多いに期待したい。

大島氏らは,振動や回転に関する量子波束や状態分布を操作する方法論を,高輝度かつコヒーレンスを有する光と の相互作用を活用することに開発している。具体的には,光電場と分子との相互作用を利用することにより,回転状 態分布を特定の準位に集中させ,その量子波束を特定できることを示した。またメチル基内部回転の量子波束運動の 実時間観測にも成功するとともに,量子波束の緩和過程への振動・回転相互作用の効果を実験的に示している。高分 解分光法による分子構造の精密決定に関するこれまでの深い知識を基にした,独自の方向性が感じられ,着実に進展 していることが伺える。

菱川氏らは,極短パルス強レーザー照射時のクーロン爆発過程およびその他の分子ダイナミクスに関する研究を 行っている。例えば,コインシデンス運動量イメージング法により,分子座標系の配向とフラグメントの運動量の相関 をクーロン爆発事象毎に計測し,電子および核のダイナミクスがレーザーの偏光方向に応じて変化すること,すなわ ち電子をどの方向に揺さぶるかで分子構造を制御できることを示した。必要に応じてサブ 10 フェムト秒のパルスレー ザーの作製等も兼ねながら進めているので,研究には時間がかかるが,その方向性および進展が確実に見てとれる。

平等氏らは先鞭をつけたマイクロチップレーザー,セラミックレーザーの開発を精力的に行っている。透明なポリ クリスタル状のセラミックを用いることにより,単結晶を用いた固体レーザーに比して,多くの製作面での利点があ り,最近はフェムト秒の非常に高速のものや,非常に小型のマイクロチップを用いた高出力の C W レーザー等を開発 することで産業界との連携も深めながらその研究を積極的に進めている。「マイクロ固体フォトニクス」を提唱し,レー ザー光の高輝度化を実現すると共に,新たな波長変換素子の開発により紫外光から可視光,近赤外光,中赤外光から 遠赤外光のテラヘルツ波領域までを手のひらサイズ光源でカバーすることにすでに成功しており,これら開発してい る光源は,今後幅広い応用が期待される。

松本氏らはキャラクタライズされた固体表面に原子や分子が吸着された系での超高束ダイナミクスを,フェムト秒 パルスを照射することにより調べている。例えば,固体表面でのコヒーレントな核運動を時間分解 S H G により観測 するとともに,振動コヒーレンスがコントロールできることを示している。固体表面での反応ダイナミクスへの研究

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は非常にユニークであり,この研究分野をリードしている松本教授の転任は分子研にとっては大変残念ではあるが, 今後いろんな面での共同研究を期待したい。

(3) この分野の国内,国外での研究分野としての重要度

光分子科学研究といった場合,これまでは光と物質(分子)の相互作用を摂動としてとらえ,種々の分光法を用い て物質の性質を調べる研究が主であった。かかる研究は現在も物質科学や生物科学研究において分析手段として常套 的に用いられている。最近,回折限界を超えた分光手法の開発により,無侵襲かつ分子レベルで物を観るための研究 が活発に行われている。この点で,岡本氏らの近接場二光子励起蛍光イメージング法による波動関数の可視化は重要 な貢献と考えられる。さらに最近の技術革新により,数フェムト秒の時間幅で位相制御された光や非常に高出力のパ ルス光といった極限的な光を取り出すことができるようになった技術的革新により,従来にない新たな研究領域が展 開されつつある。光は単なる摂動ではなく,積極的に光で分子の状態を制御し,さらには反応を制御しようというも のである。これに関しては,国内外の多くの理論研究が先行している感があるが,レーザー技術の進歩により,実験 的な検証が行われるようになってきたといえる。大森,大島,菱川の各氏が果敢に取り組んでいる領域である。分子 の量子制御や反応制御が光で自由自在にできるようになれば,光と分子を利用した量子情報通信,光量子コンピュー ターが可能とする説もある。そのための具体的な道筋が見えているとはとても思えないが,かかる可能性にも注目し ておく必要がある。また光分子科学研究には光の存在は不可欠であり,平等氏らが推進しているような種々のレーザー の開発は大変重要である。

(4) この分野の発展はあるか,どの方向か

光分子科学研究領域を分子と光の相互作用を調べる研究分野と定義するのであれば,物質科学や生命科学の発展の ためにもこの分野の発展を期待せずにはいられない。新たな実験手法をたえず考えながら,光技術の発展により得ら れる新たな光と分子の相互作用を調べることが必要である。その結果として高空間分解能,高時間分解能の新分光法 が得られるのであれば,それは確実に他の研究領域の研究に有用となるであろうことは,最近の生物科学の発展が種々 の光イメージング測定の発展に密接に結びついていることからも明らかである。また光で反応を自由自在に制御でき るようになると期待したい。興味や研究の対象を深く掘り下げていくことは勿論重要であるが,興味の対象を広く持 つことも重要である。一見異なる領域間の共同研究は大変重要であり,現在行っている研究が他の分野とどのような 関係にあるかを広くアンテナを広げておくことが研究の新たな展開に結びつくように思われる。

(5) 分子研の当該研究領域は今後どのように進むべきか

高空間分解,高速時間分解分光に基づいて,気相,固体(表面)の各層を対象とする研究者が構造と反応を主とし て研究を行っている。お互いの研究は非常に関連するように思われるにもかかわらず,所内での共同研究はほとんど 行われていないのは残念である。表面や固体ナノ量子を扱う研究者もいるが,気相分子を対象としている方が多いと いう印象をもつ。気相以外に,凝集系を独自の視点から扱う研究者の存在も望ましいように思われる。この研究領域 には,X線から,紫外,可視,赤外の広い波長領域にわたり,しかも連続光から超短パルス光の異なる時間幅を有す る光を扱っている研究者が所属しており,また,レーザー開発に携わっている研究者も所属していることを考えると, この領域内で一つのプロジェクトを立ち上げて一緒に同じ問題に取り組むことが可能ではないか。学生数が少ないと いうこともあり,各グループの人数は決して多いというわけではないので,グループ間の連携を是非検討して欲しい。 そしてプロジェクトに必要であれば,外部の方も組み込むようなシステムを考えてはどうだろうか。将来的には大き な国際プロジェクトへと発展する可能性を視野にいれてはどうだろうか。その際に基本となるのは,各グループ独自 の研究手法および実験手法である。周波数分解分光および時間分解分光を得意とする研究者と多種多彩であり,この

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点では分子研の過去の良き伝統を受け継いでおり,これらの特徴を活かしたプロジェクトが考えられるように思われ る。さらに分子研には,多くの理論研究者がおられることから,実験グループと理論グループの所内共同研究をもっ と押し進めることも必要ではないか。

II.分子研全体に対する意見

「大学共同利用機関としての分子研の存在意義と将来への展望」

分子研で行っている研究を中心としたプロジェクトを編成し,他の組織の方々を巻き込んでの共同研究をたえず 行っている状況が理想的と考える。ただ,分子研のみならず多くの大学や研究所においても最新の大型設備が整備さ れている現状においては,研究設備も含めて分子研だけが突出しているとはいいにくい。しかし,大学教員を含む多 くの研究者は,一部の研究者を除けば一般にいわれているほど研究資金は潤沢ではなく,慢性的な研究費不足に悩ま されているのが実状ではないだろうか。そのようなことを考えた場合,たとえば分子研が中心に行っているように, 装置に関してのネットワークを構築し,それを利用することによりアイデアがあれば研究を進めることが可能なよう にシステムを構築することが分子科学研究の基盤を拡げるためにも重要ではないだろうか。

ただし,このようなシステムを構築し運用することが,最先端の研究を行っている分子研の研究者の雑用を増やし, 足を引っ張ることになってはこまるので,共通機器の整備だけではなく,依頼測定も可能なように測定に携わる人員 を増やすことはできないであろうか。現在分子研の共同研究に関わっておられる方はある程度に限られており,まだ 全国の大学が利用している,とはいえないような気がしており,お互いの共同研究ができやすいような環境造りがま だ必要なのではないかと考えている。また,国際的な観点から,たとえば分子研をアジアネットワークの中心として, 5〜10年任期の外国人教授のポストを造るのも一つの考えではないか。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員B 分子研光科学研究領域に関する評価(極短紫外光研究施設光源分野)

1)光源性能向上について

直線部の四極電磁石の配置を変更し,エミッタンスを従来 160nm. rad から 27nm. rad まで大幅に向上させると共に, 挿入光源用の直線部を確保した。比較的低いエネルギーで高輝度の電子ストレジリングの場合,電子ビーム寿命の制 約が問題となる。これを解決すべくトップアップ入射実現のための計画を着実に遂行している。計画の一環であるブー スターシンクロトロンのエネルギー増強はすでに終了した。この様に,第2世代のシンクロトロン放射光源であった U V S O R を,短期間の改造で第3世代光源と同等の性能にまで高めるのに成功したことは大いに評価できる。これら の光源自体の改造と共に,多様な挿入光源の整備を行っていることは大いに評価できる。

2)光源加速器を用いた研究について

放射光源グループの研究活動に関して特記すべきことは,光源性能を着実に向上させる努力のみならず,光源加速 器を用いた特徴ある研究を遂行していることである。自由電子レーザーの研究,レーザースライシング法の開発,コ ヒーレント放射,テラヘルツ光発生の研究などである。これらの研究水準は世界に抜きんでたレベルにあり,外国研 究機関との共同研究が活発になされている。また,これらの研究成果を即放射光利用研究者が共有できている。すな わち,これらの研究成果として得られた特徴ある放射光を用いた利用研究が行われている。これらの研究活動は大い に賞賛されるべきものである。

3)将来の展望,他機関との共同研究

光源グループは光源性能をより向上させるべく,エミッタンスのより一層の低減(15nm.rad),挿入光源のための直

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